『会社四季報』秋号の発売を前に、東洋経済オンラインが高配当利回り銘柄のランキングを先取りで公開しました。利回り5%超が11社、4%台が42社——という数字が並びます。

配当を目当てにした投資は、値上がり益を狙うより穏やかに見えます。ですが「利回りが高い」という一点だけで飛びつくと、思わぬ暗礁に乗り上げることもある。今日はその航路の読み方を一緒に整理してみます。

(出典:東洋経済オンライン「会社四季報『秋号』超先取りランキング④」 https://toyokeizai.net/articles/-/956733 )

「利回りが高い」の正体を見極める

配当利回りは「1株配当 ÷ 株価」で計算します。ここで注意したいのは、分母である株価が下がっても利回りは上がる、という点です。つまり、業績悪化で株価が売られた結果、見かけの利回りが跳ね上がっているケースがある。これがいわゆる「高配当利回りの罠」です。

今回のランキングが優れているのは、単に利回りの高さで並べたのではなく「減配・無配がない」ことを条件に絞り込んでいる点です。減配とは配当を減らすこと。利回り10%でも翌年に半額に減らされてしまえば、絵に描いた餅になります。過去に配当を維持してきた実績は、企業の稼ぐ力と株主還元の姿勢を映す鏡です。

へえ、と思う配当の歴史

ひとつ豆知識を。日本企業の配当総額は、実はここ十数年で大きく膨らんでいます。かつて日本企業は「内部留保をため込む」と批判されがちでしたが、コーポレートガバナンス改革や東証の資本効率改善要請を受け、株主還元へ舵を切る企業が着実に増えました。配当と自社株買いを合わせた「総還元性向」を重視する経営が、今や当たり前になりつつあります。

つまり高配当というテーマは、一過性の流行ではなく、日本市場の構造変化と地続きなのです。先日はAI時代に強い『なくならない仕事』の話に触れましたが、投資の世界でも「時代が変わっても残る還元姿勢」を持つ企業に目が向いているのは、どこか通じるものを感じます。

慎重派としての読み方

私は高配当銘柄そのものを勧める立場にはありません。ただ、材料として意識しておきたい視点はあります。ひとつは配当性向——利益の何割を配当に回しているか。これが100%に近い、あるいは超えている場合、利益以上に無理して配っている可能性があり、持続性に注意が必要です。もうひとつは、業績が横ばい以上を保てているか。減配なしの実績も、将来を保証するものではありません。

配当は「凪の海でも進める帆」のようなもの。ただし、その船体(企業の本業)が傷んでいないかは、利回りの数字だけでは見えません。四季報本体が出たら、業績見通しのコメントと併せて確認するのが王道だと考えています。