日経平均株価がプラス転換し、その原動力の一つが銀行株への買いでした。背景には「日銀が近く利上げに動くのでは」という観測の高まりがあります(出典:株探 https://news.google.com/rss/articles/CBMiUkFVX3lxTE40a2l3SUVJUVd5emx3OUhxR1ljUjBBMzluY3VOOU4tdnVYM2Z0YWI1MEZoeVVPTjVDZUtwNWVIbUtSSnZ0c3o4NGRrcnlQQUxTcUE)。金利は預金や住宅ローンを通じて私たちの生活にも直結するテーマですので、少し丁寧に見ていきましょう。
なぜ「利上げ観測」で銀行株が買われるのか
銀行のもうけの土台は、お金を貸す金利と、預金に払う金利の差である「利ざや」です。長く続いた超低金利の下では、この利ざやが薄く、銀行は雨の日に傘を貸せない状態が続いていました。ここで政策金利が上がれば、貸出金利が上がりやすくなり、利ざやが広がる期待が生まれます。だから利上げ観測が高まると、真っ先に銀行株へ資金が向かいやすいのです。
ただ、ここは冷静に見たいところです。利上げは銀行にとって追い風であると同時に、保有する債券の価格を下げる面もあります。金利が上がると既存の低利回り債券の魅力が薄れ、評価損が出るためです。つまり利上げは、銀行にとって「追い風と向かい風が同時に吹く」性質を持ちます。株価が反応する初動と、実際の業績への効き方には時間差があることを覚えておきたいところです。
「観測」で動く相場の危うさと面白さ
今回動いたのは、あくまで「利上げ観測」という予想の段階です。相場は事実そのものより、予想の変化に反応します。ここで一つ豆知識を。日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除しましたが、これは実に17年ぶりの利上げでした。それ以前、日本は世界でも珍しい「金利のない国」を長く続けてきたのです。金利が動くこと自体が、多くの現役世代にとって初めての経験だと言えます。
だからこそ、相場は金利の一言一句に敏感になります。総裁の発言、物価指標、賃金の動き——こうした材料が出るたびに、観測が強まったり弱まったりして株価が揺れます。航海にたとえれば、風向きがまだ定まらないなか、船乗りたちが空の色を読み合っている状態です。方向感が出るまでは、値動きが荒くなりやすい点に注意したいところです。
生活とのつながりで考える
先日まで私は「なくならない仕事」としてブルーカラーの人気を取り上げましたが、金利上昇は働き方や暮らしのコスト、住宅ローンにも波及するテーマです。相場の話は遠い世界のようでいて、実は家計の天気予報でもあります。銀行株の動きは、その天気の変わり目を映す風見鶏のような存在だと私は見ています。
特定の銘柄をどうこうという話ではなく、金利という大きな構造変化が始まりつつある、という視点で全体を眺めるのが今は有効だと考えています。