米国発のニュースで、AI・半導体相場に「陰り」の言葉が出始めました。ジャクソンホール会議でのタカ派的な発言を受け、株高の追い風だった金利環境が微妙に変わりつつある、という指摘です。金利は私たちの持つ投信や年金の値動きにも効いてくるので、他人事ではありません。
何が起きたのか
東洋経済オンラインの記事(該当記事)は、要点を二つに整理しています。ひとつは「AI・半導体相場はまだ終わっておらず、株価の年末高予想も不変」という見方。もうひとつは「だが金利は危険水域に近づいている」という警戒です。強気と慎重が同居している、いわば晴れ間と雨雲が同じ空に見えている状態ですね。
私はこの「両立」こそ今の相場の本質だと捉えています。AIという構造変化のテーマは数年単位の話で、一朝一夕には消えません。一方で金利は、株価の「割高さの許容度」を決める重力のようなもの。テーマが強くても、重力が強まれば高く飛んでいる銘柄ほど下押し圧力を受けます。
なぜ金利が効くのか
ここで一つ豆知識を。株価評価でよく使うPER(株価収益率)は、金利の裏返しのような性格を持ちます。金利が上がると、将来の利益を「今の価値」に割り引く率が高くなり、成長株の理論価値は縮みやすい。実際、2022年の米金利急騰局面では、利益が伸びていたハイテク株ほど大きく調整しました。テーマの良し悪しではなく、割引率という「見えない重り」が効いた例です。
つまり今回のニュースは「AIブームが終わった」ではなく「重りが少し増えたので、飛び方に注意」という話だと私は読みます。年末高シナリオ自体を否定するものではありませんが、前提条件が一つ厳しくなった、という受け止めが妥当でしょう。
昨日まで触れてきたAIの雇用インパクトの記事でも書いたように、AIは働き方まで変える長期の潮流です。相場の短期の波と、産業構造の長期の潮目は分けて考えたい。波が荒れても潮の向きは変わらない、というのが私の基本姿勢です。
慎重派としての見方
特定の銘柄をどうこう言うつもりはありません。ただ、金利という共通の重りが意識される局面では、値動きの大きい銘柄ほど「テーマの強さ」と「金利感応度」の二枚看板で見ておくと、判断の解像度が上がると考えています。晴れているうちに雨具の場所を確認しておく、そんな心構えの時期です。