3日の東京市場は、朝から普段と違う空気が流れていました。日米の財務相が「協調介入」を実施したことを明らかにし、今後の再実施も示唆したためです。ドル安円高が進み、ドル円は一時155円台前半を付けました。為替・株式・債券のすべてが同時に大きく揺れた一日で、円建て資産を持つ私たちにとって無関係ではいられません。

(出典:東洋経済オンライン「日米財務相が協調介入実施を明らかに」 https://toyokeizai.net/articles/-/953534

「協調介入」がなぜ効くのか

介入には大きく分けて、一国だけで行う「単独介入」と、複数国が足並みをそろえる「協調介入」があります。今回のように日米が組む形は、市場に与える心理的インパクトが単独とはまるで違います。

たとえるなら、単独介入は一隻の船が波に逆らって進むようなもの。対して協調介入は、複数の船が並んで壁をつくる形です。投機筋にとっては「この方向に賭けると相手が大きい」と意識せざるを得ず、ポジションを畳む動きが出やすくなります。

ここで一つ、へえと言える歴史を。協調介入の代名詞といえば1985年の「プラザ合意」ですが、実は2011年の東日本大震災直後にもG7が円売り協調介入を行っています。あのときは急激な円高を止めるため各国が連携しました。つまり協調介入は「珍しいが前例はある」カードで、発動されると相場の潮目が変わりやすいのです。

為替・株・債券が同時に動いた意味

今回注目したいのは、為替だけでなく株式・債券も同時に振れた点です。為替が動くと、輸出企業と輸入企業で損得が分かれ、日本株の中身が入れ替わります。円高は一般に輸出関連にはマイナス、輸入・内需にはプラスと意識されやすい構図です。

債券が動いたのは、介入の原資や金利政策との整合性を市場が読もうとしたためでしょう。介入はあくまで「時間を買う」手段であり、金利差という根っこの流れを変えるものではありません。ここは冷静に見ておきたいところです。

先日まで私は、AIやブルーカラーといった「働き方の構造変化」に注目してきました。今日の為替は一見すると短期の急変ですが、根っこにあるのは日米の金利差という構造要因です。表面の波よりも海流を見る、という姿勢は同じだと考えています。

慎重に見ておきたいこと

介入は効果が一時的なことも多く、「再実施の示唆」という言葉自体が牽制として使われます。数字が独り歩きしやすい局面なので、確定していない水準を追いかけるより、当局のトーンと再実施の有無を静かに観察するのが賢明だと考えています。特定の銘柄をどうこうする話ではなく、あくまで相場全体の潮流として意識しておきたい材料です。