25日の東京株式市場は、半導体業界の「過剰投資」への警戒が広がる中、売りと買いが交錯し、株価は小幅な値動きにとどまりました。強気一辺倒だった半導体相場に、初めてブレーキランプが灯った格好です。AI相場の中心にいる半導体だからこそ、この空気の変化は幅広い投資家に関係してきます。
出典:NHKニュース(経済)「株価 売り買い交錯する展開 半導体過剰投資への懸念も」(https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260825de46150)
「過剰投資」という言葉が出てきた意味
これまで半導体は「作れば売れる」「AIで需要は無限」という楽観に支えられてきました。ところが今回、市場で「過剰投資ではないか」という警戒が語られ始めた。これは相場の物語がひとつ次の章に入ったサインだと私は見ています。
過剰投資への懸念とは、平たく言えば「設備を作りすぎて、需要が追いつかなくなるのでは」という不安です。工場や製造装置は決断から稼働まで数年かかるため、需要のピークを見て投資すると、完成する頃には供給過剰になっている――これが半導体の宿命ともいえるパターンです。
昨日までの私の記事ではAIが生み出す「なくならない仕事」の話に触れましたが、AIは労働市場だけでなく、こうした設備投資の判断にも巨大な影を落としています。AIデータセンター向けの需要をどこまで織り込むか、その一点に相場が揺れているわけです。
へえ、と思う「シリコンサイクル」の歴史
ここで豆知識をひとつ。半導体業界にはシリコンサイクルと呼ばれる好不況の波があり、おおむね4年前後で好況と不況を繰り返してきました。1985年、2001年のITバブル崩壊、2008年、2019年、そして直近と、歴史は「熱狂→過剰投資→在庫調整→回復」のリズムを何度も刻んできたのです。
面白いのは、過剰投資の懸念が語られ始める局面は、たいてい業績自体は絶好調なタイミングだということ。快晴のときほど気圧の変化に敏感になる――ベテランの船乗りが空の色を読むのと似ています。今回の「売り買い交錯」も、業績が悪いから売られているのではなく、良すぎる前提を織り込んだ株価が一度息継ぎをしている、と解釈するのが自然でしょう。
慎重派として見ておきたい点
私は、この局面を「終わりの始まり」と決めつけるのは早計だと考えています。過剰投資の懸念と実際の在庫調整は別物で、需要の伸びが続けば懸念は杞憂に終わります。ただし、株価は事実より先に「期待の目盛り」で動くため、目盛りが上がりきったところでは、少しの不安でも交錯相場になりやすい。
大切なのは、指標を淡々と観測することです。半導体製造装置の受注動向、データセンター投資の計画、そして各社の在庫水準。これらが「増え続ける」のか「頭打ち」なのかで、シリコンサイクルの現在地が見えてきます。煽らず、盛らず、天気図を毎日つける気持ちで見ていきたいところです。