20日の東京株式市場で日経平均株価が値上がりしています。きっかけは、アメリカの長期金利が低下し、19日の米国市場で主要な株価指数がそろって上昇したこと。海の向こうの追い風が、そのまま日本の帆を膨らませた格好です(出典: NHKニュース経済 https://news.web.nhk/newsweb/na/nd-20260820de45236)。
「なぜ米国の金利が下がると日本株が上がるの?」と思った方へ。今日はこの仕組みを、慎重派の視点で丁寧にほどいていきます。
金利と株価は「シーソー」の関係
長期金利が下がると株価が上がりやすい――これは相場の基本パターンのひとつです。理由は主に二つあります。
ひとつは、金利が下がると企業がお金を借りやすくなり、投資や事業拡大がしやすくなること。もうひとつは、預金や債券で得られる利回りが下がると、相対的に「株式で運用したほうがよい」と考える投資家が増えることです。金利と株価は、片方が下がるともう片方が上がりやすい、シーソーのような関係にあるとよく言われます。
ただし、ここで一言添えておきたいのです。金利低下が「景気が心配だから」という理由で起きている場合、株価はむしろ下がることもあります。金利低下=株高、と機械的に結びつけるのは危うい。今回のように株と金利が素直に逆方向へ動いたときは、市場が「ほどよい金利低下」と前向きに受け止めた、と読むのが自然でしょう。
へえ、と思う金利の豆知識
ひとつ豆知識を。株価の理論値を考えるとき、金利は「割引率」として使われます。将来の利益を今の価値に換算する際、金利が高いほど将来の価値は割り引かれて小さくなる。逆に金利が少し下がるだけで、遠い将来の利益を稼ぐ企業――たとえば成長期待の高いハイテク株――の評価が大きく跳ね上がります。
だから米国で長期金利が下がると、まずハイテク株が敏感に反応し、それが日本の値がさハイテク株にも波及しやすいのです。金利のわずかな動きが、成長株ほど大きく効く。ここは覚えておくと相場のニュースがぐっと読みやすくなります。
追い風は本物か、一過性か
昨日までの記事では、AIの台頭で働き方や産業構造が変わりつつある話に触れました。構造の変化は数年単位でじわじわ効くテーマですが、今日の株高はもっと短期の「金利」という風向きによるもの。時間軸が違う話だという点は、混同しないでおきたいところです。
海外発の上昇は、外的要因が変わればあっさり反転することもあります。米国株がくしゃみをすれば日本株が風邪をひく、という関係は今も健在です。今日の上昇そのものは歓迎すべき晴れ間ですが、それが安定した高気圧なのか、通り雨の合間の晴れなのかは、もう少し様子を見たいところです。
煽らず、盛らず。追い風のときこそ、なぜ吹いているのかを冷静に確かめる。それが長く相場と付き合うコツだと考えています。