週明け3日の東京株式市場は、日経平均株価が値下がりしました。きっかけは外国為替市場で進んだ円高ドル安です。輸出関連の銘柄を中心に売り注文が広がった、と報じられています(出典:NHKニュース経済 https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015194721000)。

「為替が動いただけでなぜ株が下がるの?」と感じた方も多いかもしれません。今日はその仕組みを、慎重派の目線でゆっくり解説します。

なぜ円高で輸出株が売られるのか

自動車や電機など海外で稼ぐ企業にとって、円高は逆風です。たとえば1ドル=150円のときに1万ドル稼げば150万円ですが、140円になると同じ1万ドルでも140万円にしかなりません。海外で稼いだお金を円に戻すと目減りしてしまうわけです。

つまり円高は輸出企業の「見かけの利益」を圧縮します。だから為替が円高に振れると、投資家は先回りして輸出関連株を売りやすくなる。今回の下落も、この教科書どおりの反応と言えます。

ただ、私はここで一歩引いて考えたいと思います。円高は輸出企業には逆風でも、原材料を輸入する企業や、海外旅行・海外投資をする個人にとってはむしろ追い風です。日経平均という「輸出企業の比率が高い指数」が下げると悲観的に見えますが、経済全体で見れば損得は片側だけではありません。天気にたとえるなら、同じ雨でも農家には恵みで、行楽客には残念、というだけの話です。

「へえ」と言える為替の豆知識

ここで一つ豆知識を。かつて1985年の「プラザ合意」という国際的な取り決めで、1ドル=約240円だった円は、わずか2〜3年で120円台まで急騰しました。約2倍の円高です。当時は輸出企業が大打撃を受け「円高不況」と呼ばれましたが、その後日本企業は生産の海外移転や高付加価値化を進め、為替に左右されにくい体質へと変わっていきました。

つまり、円高は短期的には痛みでも、長期的には企業の構造改革を促す面もあるのです。今の日本企業も、海外に工場を持ち現地で作って現地で売る比率が昔よりずっと高い。だから「円高=即・業績直撃」とは一概に言えなくなっているのが実情です。

昨日まではAIやブルーカラーの働き方の変化について書いていましたが、あちらが「人と仕事の構造変化」なら、今日の為替は「お金の流れの構造変化」。どちらも表面のニュースの裏にある土台の変化を見る、という点では同じ視点で眺めています。

一日の値動きに一喜一憂しない

大切なのは、一日の円高・株安に振り回されないことです。為替は米国の金利や景気指標で日々揺れます。むしろ注目すべきは、この円高が一時的な調整なのか、それとも米国の利下げ観測などを背景にした流れの転換なのか、という「方向性」のほうです。

短期の波を数えるより、潮の向きを見る。慎重派としては、そこを冷静に見極めていきたいと思います。