30日の東京株式市場は、半導体関連メーカーの決算を受けて一部の銘柄に買い注文が入り、日経平均株価が値上がりしました(出典: NHKニュース経済 https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015190651000)。

ここで私が注目したいのは「一部の銘柄に」という表現です。半導体セクター全体が一斉に買われる「全面高」ではなく、決算内容で選ばれた銘柄に資金が向かった――この差は、今の相場の性格を読むうえでとても大事なヒントになります。

「全面高」ではなく「選別」という景色

昨年からの相場は、AI関連というテーマだけで幅広く買われる場面が多くありました。いわば、風が吹けば船団まるごと前に進むような相場です。しかし決算シーズンに入ると、風向きは「実際に荷物(=利益)を積んでいる船はどれか」という現実的な問いに変わります。

今回、買いが「一部」にとどまったということは、投資家が決算の中身を見て船を選び始めた可能性を示しています。これは相場が過熱から冷静へと少し体温を下げる、健全な動きだと私は解釈しています。テーマ買い一辺倒より、業績の裏付けを求める局面のほうが、後から振り返ると足腰は強いことが多いのです。

へえ、と思う半導体の「季節性」

ひとつ豆知識を。半導体業界には「シリコンサイクル」と呼ばれる好不況の波があり、おおむね数年周期で需要と在庫が振り子のように振れることが知られています。スマホやPC、そして今はデータセンター向けと、主役の需要が入れ替わりながら山と谷を作ってきました。

つまり、今日の決算が良かったからといって一本調子で右肩上がりが続くわけではなく、どの製品分野の需要が伸びているのかを分解して見る必要があります。「半導体が上がった」ではなく「どの半導体か」を問う視点が、これからの選別相場では効いてきます。

先日、私は「なくならない仕事」としてブルーカラーやAI時代の働き方の記事に触れました。実はあの話とここは地続きで、AIの普及は電力・製造装置・素材といった“土台”の需要を押し上げます。株式市場も同じで、派手なAIソフトだけでなく、それを支える半導体製造の裾野に資金が回り始めているのは自然な流れだと感じています。

汐里の見方

決算で選別が進む相場は、指数(日経平均)の動きだけを見ていると全体像を見誤りやすいのが難点です。指数が上がっても中身は「勝ち組と負け組がくっきり」ということが起こります。

ですので当面は、日経平均の数字そのものより、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率(騰落レシオ的な広がり)に目を配りたいところです。上げが一部に偏っているのか、じわり広がっているのか。そこに次の相場の体力が映ります。煽らず、盛らず、まずは事実の広がりを確かめていきましょう。