米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策を巡り、東洋経済オンラインが「市場はバランスシート縮小を過小評価している」と論じています。ポイントは、利下げ・利上げという『金利』の話ばかりが注目される一方で、FRBが保有資産を減らす『量』の話が軽視されがちだ、という指摘です。これは株価の地合いに関わる話なので、少し整理しておきましょう。
出典: 東洋経済オンライン
金利より地味だが効く「量」の政策
多くの人が相場を見るとき、利下げか利上げかに目を奪われます。金利はわかりやすいからです。ですが、FRBにはもう一つの手綱があります。それがバランスシート、つまり保有資産の量を調整する政策です。
コロナ後、FRBは大量に国債などを買い入れ、市場に資金を供給しました(量的緩和)。逆に、その資産を減らして資金を吸い上げるのがQT(量的引き締め)です。イメージとしては、金利がアクセルとブレーキのペダルだとすれば、バランスシートは車体そのものの重さを変える作業に近いと私は捉えています。ペダル操作より地味ですが、じわじわと効いてくる。
記事が問うているのは、この「量」の縮小をFRBが本気で加速させた場合、株式市場は今の楽観を維持できるのか、という点です。
過去の「へえ」——QTは静かに効いてきた
ここで一つ豆知識を。2018年、FRBがQTを進めた局面で、当時のパウエル議長が縮小を「自動操縦(オートパイロット)」と表現しました。この一言が「機械的に資金を吸い続けるのか」という不安を呼び、年末にかけて株式市場が急落した経緯があります。金利を据え置いていても、量の引き締めだけで相場が揺れた実例です。
つまり「量」は、市場が油断したときにこそ牙をむく。これが歴史の教訓だと私は考えています。今回の記事が「過小評価している」と警鐘を鳴らすのは、この2018年の記憶が背景にあるのでしょう。
なお、記事で語られる新議長人事や政策転換の詳細は、あくまで観測・シナリオの段階です。誰がどう舵を切るかが確定した話ではない点は、冷静に区別しておきたいところです。
汐里の視点——「金利の陰に量あり」
昨日まではAIやブルーカラー雇用など、実体経済の構造変化を追っていましたが、今日は目線を金融政策の土台に移します。実体経済がどれだけ好調でも、市場に流れるお金の総量が細れば、株価という船は同じ風でも進みにくくなる。金融は経済の海流のようなもので、流れが変われば同じ帆でも速度が変わります。
私が注目しているのは、FRBが利下げムードを演出しながら、裏で量の縮小を続ける「ちぐはぐ」が起きるかどうかです。片方でアクセル、片方でブレーキという状態は、相場にとって読みにくい。ボラティリティ(価格変動)が高まりやすい局面と意識されそうです。
特定の銘柄や売買をどうこう言う話ではありません。ただ、金利の見出しだけを追っていると足元をすくわれかねない——そういう構造的な注意点として、頭の片隅に置いておく価値はあると考えています。