23日のニューヨーク株式市場で、ナスダック総合指数が2.1%を超える大幅下落となりました。IT大手を中心に売りが広がり、下げ幅は550ポイント余り。ハイテク株に資産を寄せている方には、他人事ではない一日だったと思います。
この下げの背景には「AIへの過剰投資への警戒」と「金利上昇」という二つの逆風が挙げられています(出典: NHKニュース経済 https://news.web.nhk/newsweb/na/na-k10015184741000)。今日は、この二つがなぜ同時に効いてくるのかを整理します。
なぜAIと金利が同時に効くのか
AI関連株の株価は、いわば「遠い将来の果実」を今の値段に織り込んでいます。データセンターや半導体への巨額投資が、いずれ大きな利益を生む——その期待が株価を押し上げてきました。
ところが金利が上がると、この「遠い将来の果実」の現在価値が目減りします。天気にたとえるなら、金利は株価という帆船の向かい風。成長期待という帆を大きく張っている船ほど、風が強まると大きく揺れるのです。だからハイテク比率の高いナスダックが、より深く下げやすい。
そこに「投資は巨額だが、回収はいつ・いくらになるのか」という過剰投資への疑問が重なりました。期待の帆と向かい風、二つが噛み合った局面と見ています。
「過熱」ではなく「点検」の局面
ここで一つ、へえと思っていただきたいデータを。ナスダックは2000年のITバブル崩壊時、ピークから約8割下落しましたが、あの時と今の決定的な違いは「今のIT大手は実際に巨額の利益を出している」点です。夢だけで買われた当時と、稼ぐ力を持つ今とでは足腰の強さが違います。
ですから私は今回の下げを「バブル崩壊」ではなく、投資家が投資対効果を冷静に点検し始めた「調整」と捉えています。過剰投資への警戒とは、成長を否定する声ではなく、「その投資、ちゃんと回収できますか?」という真っ当な問いなのです。
昨日まで私はAIが労働市場を変える構造変化を取り上げてきましたが、株式市場ではその同じAIが今、期待先行のツケを一度精算しようとしている。実体経済と株価の温度差が縮む過程だと見ています。
慌てず、風向きを確かめる
一日の2%下落は決して珍しくありません。過去を振り返れば、ナスダックが年に数回こうした調整を挟むのはむしろ普通です。大切なのは、これが一時的な向かい風なのか、潮目の変化なのかを見極めること。
判断材料は金利の動向と、AI関連企業の決算で示される「投資の回収見通し」です。特定銘柄の売買をどうこう言うつもりはありませんが、決算での設備投資計画のトーンは、市場全体の材料として意識されそうです。焦って舵を切るより、まず風向計を確かめる局面だと考えています。