NY為替市場で、原油高を背景に「年内の利上げ」を織り込む動きが強まり、米長期金利が上昇しました。金利が動けば為替が動き、為替が動けば日本株や輸入物価にも波及します。今日は、この一見遠い出来事が私たちの財布とどうつながるのかを、順を追って眺めていきましょう。(出典:株探 https://news.google.com/rss/articles/CBMiYEFVX3lxTE4tUVpjcEtGMldPaXBEQUVSZXp2MnJacjR5NGloeGhUZjFTd3FlODJaQWN2NE9CU3hZaFZIR2lmMHhfNjFmNlVGcUxEbGVpeGlPUG5vQnlCanNJME5rNGJBag?oc=5)
原油が上がると、なぜ金利が上がるのか
順番はこうです。原油が上がる→ガソリンや輸送費が上がる→物価全体が上振れしやすくなる→インフレを抑えるため利下げが遠のく、あるいは利上げ観測が浮上する→金利が上がる。今回の長期金利上昇は、この連想ゲームが市場のなかで一気に回った結果だと私は読んでいます。
ここで押さえておきたいのは、原油は「あらゆる物価の上流」に位置するという点です。エネルギーは製造・物流・農業とほぼすべての産業のコストに染み込んでいくため、中央銀行はエネルギー価格の動きに神経を尖らせます。天気にたとえるなら、原油は上流の雨量計。ここが増えると、下流の物価という川が数か月遅れで水かさを増していくイメージです。
へえ、と思う金利と原油の歴史
ひとつ豆知識を。1970年代の二度のオイルショックでは、原油高が世界的なインフレと高金利を招き、景気停滞と物価高が同時に起きる「スタグフレーション」という言葉が生まれました。原油と金利は、半世紀前から手をつないで動いてきた古い相棒なのです。
ただし現在は当時と事情が違います。米国はシェールオイルの生産国でもあり、原油高が必ずしも一方的な打撃にならない構造になりました。だからこそ「原油高=即・景気悪化」と単純化せず、金利・ドル・株の反応をセットで見る必要があると考えています。
私たちへの意味づけ
米長期金利が上がると、理屈のうえでは日米金利差が広がり、ドルが買われて円安に傾きやすくなります。円安は輸出企業には追い風ですが、輸入物価を通じて家計には向かい風です。先日、AIとブルーカラーの記事で「働き方の構造変化」に触れましたが、賃金が上がっても物価と円安がそれを削るなら、実感としての豊かさは伸び悩みます。金利・為替・物価は、賃金の話と地続きなのです。
現時点では、原油高がどこまで持続するかが最大の変数です。産油国の供給姿勢ひとつで流れは変わり得るため、「年内利上げ」の織り込みも、まだ確定ではなく仮説の段階だと私は見ています。煽らず、川上の雨量計を静かに見守りたいところです。