株探に掲載された北浜流一郎氏のコラムが、「AI・半導体オンリーを脱し、新たな分野にも分散を」という提言をしていました。
相場の主役がAIと半導体に偏ってきたことは、多くの方が肌で感じているはずです。だからこそ「そろそろ広げては」という問いは、今の相場に真正面から関わってきます。
出典:株探「北浜流一郎のズバリ株先見!」(news.google.com)
「一本の帆」に風を集めすぎていないか
このコラムの核心は、特定テーマへの集中がもたらす脆さへの注意喚起だと私は受け止めています。AI・半導体は確かに構造的な成長の物語を持っています。ただ、相場全体の値動きが少数の主役株に依存すると、その一角が崩れたとき指数全体が大きく傾きます。
航海にたとえるなら、一本の帆に全風を集めた船は、追い風のときは速いけれど、突風の向きが変わった瞬間に転覆しやすい。北浜氏の提言は、帆を複数に分けようという話だと理解できます。
ここで一つ、へえと思う歴史の話を。2000年前後のITバブルでも、当時の主役はハイテク・通信でした。米ナスダックは絶頂から約8割下落しましたが、皮肉なことにその後数年で相対的に強かったのは、当時「時代遅れ」とされた資源・生活必需品など地味な分野でした。集中相場のあとに脚光を浴びるのは、しばしば見向きされていなかった領域なのです。
分散は「逃げ」ではなく「物差しを増やす」こと
ただし、私が付け加えたいのは、分散は「半導体を売って別を買う」という乗り換えではない、という点です。分散の本質は、複数の物差しを同時に持つことだと考えています。
先日の記事で、蓄電池・電力関連30社の監視リストを取り上げ、テーマ株が実需で裏づけられるかを見る視点をお話ししました。また配当太郎氏に学ぶゆうちょ銀行の回では、値動きではなく配当の安定性という別の物差しを紹介しました。成長テーマ・実需・配当——これらは互いに景気局面での強み弱みが異なります。分散とは、こうした性質の違う物差しを組み合わせて、船体のバランスを取る作業だと思うのです。
注意したいのは、「新しい分野」という言葉に釣られて、根拠の薄いテーマへ短期資金が殺到する動きです。集中から分散への流れは、しばしば「次のテーマ探し」という別の集中を生みます。分散したつもりが、実は帆を張り替えただけだった、という展開には慎重でありたいところです。
個人投資家としての受け止め方
特定の分野を推奨するものではありませんが、材料として意識されそうなのは、これまで半導体の陰に隠れていた内需・金融・素材といった領域でしょう。相場のお金が主役以外にどう配分されるかは、指数だけ見ていては分かりません。
大切なのは、話題性ではなく「なぜその分野が今か」を自分の言葉で説明できるかどうか。説明できないテーマは、他人の帆に乗っているだけかもしれません。